キッチンカーを開業するには、次の準備が必要です。
- 営業許可証の取得
- 食品衛生責任者の資格取得
- 出店場所での使用許可
- キッチンカーの購入や改造
- 調理器具や使い捨て容器などの準備
本記事では、上記の項目について詳しく解説します。
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キッチンカーとは
キッチンカーとは、飲食物の調理や販売ができる設備を備えた移動販売車のことです。車両内で調理を行い、イベントや公園、オフィス街など様々な場所で営業が可能なため、固定店舗に比べて初期費用が抑えられ、柔軟に出店場所を変えられる点が特徴です。
キッチンカーは、収益性の高さや柔軟性が魅力ですが、収益管理も重要なポイントです。特に、適切に収支を管理し、税務面での手続きを行うことで、安心して事業を運営することができます。確定申告はその一環として欠かせない手続きのひとつです。収益管理や税務手続きについて詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。
キッチンカーと移動販売との違い
キッチンカーは、調理設備を備えた車両で飲食物をその場で調理・販売する形態の飲食店です。一方、移動販売は、商品を車両や屋台で販売する形式全般を指します。飲食物以外も含まれ、キッチンカーがなくても可能です。
また、キッチンカーで飲食物を販売する場合は、保健所の営業許可や食品衛生責任者の配置が必要となる点も異なります。
キッチンカー(移動販売)を開業するメリット4つ
開業資金や家賃・人件費などが抑えられる
固定店舗の飲食業のように、家賃や光熱費、店舗の大きさに合わせた人件費などの大きな出費を最小限に抑えられます。
オフィス街や住宅街、商業エリアなどさまざまな環境へ出店できる
営業許可証があれば、オフィス街やイベントなどお客様の多い場所へ移動して販売することができます。
料理や車でこだわりを表現できる
とことんこだわった料理をお客様に提供できるのはもちろん、キッチンカーの内装や外装など、すべてに自分なりのこだわりを詰め込んで表現することができます。
新しい生活様式に適している
コロナウィルスの影響もあり、人々の生活様式は変わってきました。その中で、移動ができるっや固定費がかからないといったポイントはキッチンカーの大きな強みと言えるでしょう。営業場所が固定でないことで生活様式の変化による人の流れにも対応できることもメリットといえます。例えば、以前までオフィス街が主流だったランチタイムには、住宅街に移動して在宅勤務をしている人向けに営業することで、売上を確保することができます。
キッチンカー(移動販売)で開業するまでの流れ
STEP1: コンセプト設計と事業計画
まずは「誰に」「何を」「いくらで」売るのかを明確にします。ターゲット層や販売シーン(平日ランチ、イベント、観光地など)を決め、それに合わせて商品の方向性や価格帯を設定します。同時に収支計画を作成し、売上目標と経費(原材料費、ガソリン代、イベント出店料など)を具体的に試算しておくことが重要です。
STEP2: 資金調達・補助金の検討
必要な初期費用を把握したら、自己資金だけで足りるかを確認し、不足分は融資や補助金を検討します。融資は日本政策金融公庫の創業融資や自治体の制度融資が代表的。補助金は「小規模事業者持続化補助金」などが利用できる場合があります。審査や申請に時間がかかるため、早めの着手が望ましいです。
STEP3: 資格取得と営業許可
飲食物を販売するには、各都道府県で実施される「食品衛生責任者」資格が必須。1日の講習を受けるだけで取得可能です。その後、営業地を管轄する保健所に営業許可を申請します。流れは【事前相談→申請書提出→車両検査→許可証交付】が一般的です。
STEP4: キッチンカーの準備
車両は新車・中古・改造車などから選びますが、保健所の基準を満たす設備(2槽以上のシンク、給水・排水タンクの容量、手洗い設備など)を備える必要があります。購入前に必ず管轄保健所へ仕様を確認し、必要に応じて改装を行います。
STEP5: メニュー開発と仕込み場所の確保
看板メニューは味や見た目の魅力だけでなく、提供スピードや原価率も考慮します。材料費・人件費・光熱費を含めた原価計算を行い、利益率を確保します。仕込みは保健所の許可を得た営業用厨房(シェアキッチンや飲食店の空き時間利用など)で行う必要があります。
STEP6: 出店場所の確保
出店場所は、イベント出店募集サイト、商業施設のマッチングサービス、地域主催イベント、店舗や企業との直接交渉などで探します。平日と休日、昼と夜で異なる営業場所を組み合わせることで、売上の安定化が図れます。
STEP7: 集客準備
SNS(InstagramやX)で開業前から情報発信を始め、プレオープンやメニュー試食会を行うと効果的です。また、のぼり旗やA型看板、メニュー表など視覚的な販促物も用意しておきます。
STEP8: 開業届の提出
営業開始までに税務署へ「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出します。青色申告を選択すれば、65万円の特別控除や赤字の繰越控除など税務上のメリットを受けられます。
当メディアを運営しているMellowでは、キッチンカーを開業する方向けに、出店場所確保、開業・経営サポートなどのサービスを提供しています。「開業してみたいけどよくわからない…」という方向けに無料セミナーも行っておりますので、お気軽にご参加ください。
キッチンカー(移動販売)の開業に必要な資格
キッチンカーを開業するためには、保健所の許可だけでなく、食品衛生責任者者の資格が必要になります。
食品を扱うキッチンカーには、食品衛生責任者を必ず1名以上配置しなければなりません。食品衛生責任者は、各都道府県の食品衛生協会が開催している「食品衛生責任者養成講座」を受講することで取得できます。ただし、栄養士や調理師などの免許を取得している人は受講が免除されます。修了証には有効期限がないので、更新の必要はありませんが、数年に1度の実務講習会の受講が義務付けられている場合があります。開催回数や定員数が決まっているので、確認しておきましょう。
営業に欠かせないキッチンカー(移動販売車)選び
キッチンカーの調達方法は複数あり、それぞれの方法にメリット・デメリットがあります。
新車のキッチンカー製作を専門業者に依頼する
キッチンカーの製作を専門にしている業者に依頼して制作してもらう方法です。扱う商材や売り方、コンセプトなど具体的なイメージを固めてから相談するとスムーズに進められます。製作会社によっては、価格やデザイン、アフターフォローなど、得意分野や強みが違うので、自分のイメージに合う製作会社を見つけましょう。
中古キッチンカーを購入する
中古のキッチンカーは設備をそのまま使用、または一部を変更するだけで営業可能なことが可能なので費用を抑えることができます。一方で、中古車は買って初めて発覚する不備も多く、その修理費用を含むと新車価格を超えてしまうリスクもあります。選ぶ際は、できるだけ走行距離の短かさや、営業に必要な設備が揃っているのかなどを入念にチェックすることをお勧めします。
キッチンカーをレンタルする
レンタルの一番のメリットは、飲食店営業許可証を取得している車をレンタルできるので、面倒な手続きが必要ありません。ただし実際に営業するには、出店する地域の保健所の許可が必要なため、どこの保健所から許可を得ているのか確認しましょう。また、レンタルは高額になるため注意が必要です。
自分で車を改造する
新たに購入したバンや軽トラックなどの車を、改造してキッチンカーにする方法です。営業許可が取れるようシンクの大きさや数、給・排水タンクなど必要な設備を保健所に確認しておきましょう。また、掃除のしやすさや動きやすさなど、実際の使い勝手を考慮するのを忘れずに。ただ、リスク・難易度ともに高いのでやはりプロに頼むのがおすすめです。
キッチンカーをリースする
キッチンカー専門業者が製作したキッチンカーをリースする方法です。リースとは単純なレンタルとは違い、一定年数が経過したあとお金を払えば車を買い上げることが可能です。当メディアを運営するMellowとトヨタグループとキッチンカー 専門業者「あいあんクック」が連携して提供しているリースプラン「フードトラックONE」なら初期費用96万円〜、月額8万5千円で新車のキッチンカーを利用できます。フードトラックONEは、車両のリースだけでなく、自動車保険や車検、さらに営業場所などキッチンカー経営に必要な要素が全て含まれているリースパッケージになるので、安心してキッチンカー経営に専念できます。
営業許可の取れる設備
キッチンカーを開業するためには、管轄の保健所から営業許可をとらなければなりません。各保健所によってチェック項目は異なりますが、最低限クリアしなければならない設備があります。
- 運転席と調理場が仕切られている
- シンクの数と大きさ
- 給水タンクと排水タンクの設置と容量
- 換気扇の設置
- 手洗い場所・石鹸・消毒の設置
キッチンカー(移動販売)の開業に必要な資金調達方法
キッチンカーの開業には、車両の購入や改造、営業許可の取得、初期の食材費など、さまざまな費用がかかります。一般的には250万円から350万円程度が目安とされています。以下に、具体的な資金調達方法を紹介します。
自己資金
自己資金を使うことで、借入れのリスクを避けることができます。貯金や家族からの支援を活用する方法です。
融資
日本政策金融公庫や銀行からの融資を受ける方法があります。融資を受けるためには、しっかりとした事業計画書が必要です。事業計画書には、ターゲット市場、競合分析、収支計画などを詳細に記載しましょう。
補助金・助成金
政府や自治体が提供する補助金や助成金を活用する方法です。例えば、「地域創造的起業補助金」や「ものづくり補助金」などがあります。これらの補助金は返済義務がないため、資金調達の大きな助けとなります。
クラウドファンディング
クラウドファンディングを利用して、広く資金を募る方法もあります。SNSを活用してプロジェクトを広め、多くの支援者を集めることができます。
キッチンカー(移動販売)の開業に使える補助金・助成金
地域創造的起業補助金
新しく事業を始めようとする事業主を対象に、国や地方公共団体が補助してくれる制度です。創業資金の2/3と金額が大きく、返済義務はありませんが、一定の利益が認められた場合は、返済義務が発生する場合もあります。補助金が事業の経費に使われること、認定市町村での開業や従業員1名など、補助申請や対象者には条件があります。公式サイトはこちら
ものづくり補助金
正式名称を「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業」といい、サービス、ものづくり、設備投資に対して国から支給される補助金です。原則として返済の必要がないため、少ない自己負担で設備投資が可能になります。公式サイトはこちら
地域雇用開発助成金
雇用機会の少ない地域などで新たに事業を始める開業者を対象に、厚生労働省がおこなう助成金です。助成金額は50~800万円で、厚生労働省のホームページや管轄の労働局で対象地域が確認できます。対象地域での創業や2人以上の雇用などの申請条件があります。
補助金と助成金の違いを知っておこう
公的な機関から支給される制度に補助金と助成金があります。どちらも返済義務はありませんが、細かい部分で違いがあるため、しっかりと確認しておきましょう。
- 補助金 国の政策目的にあった事業の取り組みに、資金の一部を支給する制度です。公益性が求められるため、一定の条件や申請、審査が必要です。予算が限られているため、条件の整った会社が申請しても審査を通らない場合もあります。
- 助成金 厚生労働省が管轄している支援金です。条件を満たしていれば、ほぼ受給できるのが特徴です。通年を通して募集していますが、人気の助成金は早めに終了となる場合もあります。
キッチンカー(移動販売)の開業で失敗する理由は?
キッチンカーの開業には多くのメリットがありますが、失敗するリスクも存在します。以下に、失敗しやすいポイントとその対策を紹介します。
出店場所の選定ミス
出店場所が悪いと、客足が遠のき売上が伸びません。事前にターゲット層が多く集まる場所をリサーチし、イベント会場やオフィス街、住宅街など、適切な場所を選びましょう。
価格設定のミス
価格設定が高すぎるとお客様が離れ、低すぎると利益が出ません。原価計算をしっかり行い、適正な価格を設定することが重要です。
集客不足
SNSを活用したマーケティングが効果的です。InstagramやTwitterで出店情報やメニューの写真を投稿し、フォロワーを増やすことで集客力を高めましょう。
天候や天災、感染症の影響
天候や天災、感染症などの不可抗力による影響も考慮する必要があります。悪天候時には出店を控えるなど、柔軟な対応が求められます。
衛生管理の不備
食品を扱うため、衛生管理は非常に重要です。保健所の営業許可を取得し、食品衛生責任者の資格を持つことが必須です。
キッチンカーの開業は、しっかりとした準備と計画が成功の鍵です。この記事を参考に、具体的なステップを踏んで夢のキッチンカー開業を実現しましょう。
キッチンカー(移動販売)の開業に困ったら?
はじめてキッチンカーを開業する場合、何を考えたら良いのか、どうしたら良いのか分からない。という人も多いのではないでしょうか。そんな時はプロに相談するのもおすすめです。
当メディアを運営しているMellowでは、キッチンカーを開業する方向けに、キッチンカーの基本知識から詳細な数字までお話しているセミナーを無料で行っています。「開業してみたいけど、どうしていいかよくわからない…」というキッチンカーの開業でお困りの方はぜひお気軽にご相談ください。
「こだわり」を詰め込んだキッチンカー(移動販売)で開業しよう
初期費用が抑えられ、さまざまな場所で出店できるメリットがあるキッチンカーですが、一番の魅力は「固定店舗と同じような料理と接客」で勝負できるところではないでしょうか。その反面、開業するまでに必要な資格や設備、許可申請やメニュー開発など多くの準備が必要になります。どんな商材を、どんな場所で、どんな風に販売するのか、方向性や計画性をしっかり考えて準備を進めましょう。
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執筆者:Mellow編集部
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