飲食店開業の際に利用できる国や自治体の補助金・助成金は数多くあります。これらをうまく活用することで、初期投資を抑えつつリスクを軽減しながら飲食店経営をスタートさせることができます。特に、開業初期の資金繰りや設備投資に関する費用を補うための補助金や助成金は非常に助かる存在です。
こちらの記事では、飲食店開業時や開業後に申請できる代表的な補助金・助成金について詳しくご紹介します。また、申請の際に気を付けるべきポイントも解説しています。補助金や助成金を賢く活用して、飲食店の成功に向けた第一歩を踏み出しましょう。
目次
- 開業実績多数!無料キッチンカーセミナー開催中
- そもそも助成金とは?
- 助成金・補助金・融資の違いについて
- 助成金は課税対象?
- 補助金を元手に飲食店開業は可能?
- 【最新版】 飲食店開業の際に申請可能な助成金と補助金について
- 助成金・補助金1:若手、女性リーダー応援プログラム助成事業(東京都中小企業振興公社)
- 助成金・補助金2:地方創生起業支援事業
- 助成金・補助金3:羽曳野市地域活性創業支援補助金(大阪・羽曳野市)
- 【最新版】飲食店開業後に申請可能な補助金・助成金
- 助成金・補助金1:小規模事業者持続化補助金(経済産業省)
- 助成金・補助金2:IT導入補助金(中小企業庁)
- 助成金・補助金3:ものづくり補助金(中小企業庁)
- 助成金・補助金4:事業再構築補助金(経済産業省)
- 助成金・補助金5:インバウンド対応力強化支援補助金(東京都)
- 飲食店開業による補助金・助成金申請時の注意点
- 注意点1:公募期間
- 注意点2:申請書類
- 注意点3:補助事業の開始時期
- 注意点4:補助金の交付時期
- 注意点5:補助金の併用
- 地方別の補助金・助成金
- 助成金・補助金情報の調べ方
- 地方自治体のホームページで検索
- RSSリーダーやGoogleアラートを活用
- J-Net21の活用
- ポータルサイトの利用
- 商工会議所に相談
- 飲食店開業の相談は”Mellow”
- まとめ
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- キッチンカーの開業相談
- キッチンカーの出店場所をお探しの方
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そもそも助成金とは?
助成金・補助金・融資の違いについて
助成金と補助金は、国や自治体、民間の財団などから支給される返済不要の支援金です。この二つの違いは、助成金は一定の基準を満たせばほぼ受給が決定しますが、補助金は予算や定員が限定され、厳しい審査を通過しなければならないことです。助成金は募集期間が長いことが多く、申請のハードルが低いのが特徴です。一方、補助金は募集開始から数週間で締め切られ、審査基準も厳しいため、計画的な準備が求められます。
融資は、金融機関から資金を借り入れ、返済義務があるものです。助成金や補助金が支援金として受け取れるのに対し、融資は返済が前提となるため、しっかりした資金計画が必要です。
これらの特徴を理解し、自分の事業に適した資金調達方法を選ぶことが、成功への第一歩です。最適な手段を判断するために、助成金や補助金、融資それぞれのメリット・デメリットを把握し、効果的に活用しましょう。
助成金は課税対象?
助成金や補助金は、事業者にとって重要な支援策ですが、税金の面で注意が必要です。まず、助成金や補助金は課税対象となり、確定申告時には「収入」として計上する必要があります。経理上では「雑収入」や「雑所得」として処理され、所得税、住民税、事業税、国民健康保険の保険料にも影響を及ぼします。
例えば、飲食店が助成金として400万円を受け取った場合、その400万円が課税対象となります。一方、事業が大幅な赤字である場合、助成金が課税されないケースもあります。例えば、利益がマイナス500万円で助成金が400万円の場合、総収入は赤字のため課税されません。
また、助成金を利用して購入した設備や看板などの固定資産も注意が必要です。30万円以上の高額な資産は課税対象となり、減価償却費として経費計上する必要があります。これに対して、30万円未満の購入は非課税です。
助成金や補助金は課税対象であり、確定申告時に正確に計上することが重要です。適切に対応することで、無駄な税負担を避け、事業運営をスムーズに進めることができます。
補助金を元手に飲食店開業は可能?
助成金や補助金を元手に飲食店を開業することはできません。これらの支援金は後払い形式で、事業を開始して実績報告や完了検査を経てから支給されるため、開業前に受け取ることはできないからです。
東京都中小企業振興公社の「創業助成金」も、中間払いがあるものの、前もって資金を得ることはできないので、開業の元手として使うことはできません。事前に十分な資金を準備し、計画を立てることが重要です。また、受け取った補助金や助成金の適切な経理処理と確定申告も忘れずに行いましょう。
【最新版】 飲食店開業の際に申請可能な助成金と補助金について
飲食店開業の際に申請ができる助成金・補助金は、開業する地域の公共団体で募集していることがあります。ぜひ、自身の地域の情報を探してみましょう。うまく活用すれば、リスクを抑えながら飲食店開業に挑戦することができます。
こちらでは、現在申請できる代表的な補助金・助成金をご紹介します。(2024年6月時点)
助成金・補助金1:若手、女性リーダー応援プログラム助成事業(東京都中小企業振興公社)
都内の商店街で新たに開業する店舗を支援し商店街の活性化を図るための助成金です。
【対象者・要件など】
- 女性または39歳以下の男性の創業予定の個人または個人事業主
- 開業日が申請する会の交付決定日以降であること・申請予定店舗が都内商店街であること
- 申請時点で実店舗を持っていないこと
【助成上限額】
- 844万円
【助成率】
- 3/4以内
【対象経費】
- 店舗新装・改装工事費
- 設備・備品購入費
- 宣伝・広告費
- 実務研修受講費
- 店舗賃借料
など
助成金・補助金2:地方創生起業支援事業
地域の課題解決に貢献する新しい事業に取り組もうとしている方を対象に、都道府県が行っている支援策です。
【対象者・要件など】
- 東京圏以外の道府県又は東京圏内の条件不利地域において社会的事業の起業を行う方
- 起業地の都道府県内に居住していること、又は居住する予定である方
など
【補助上限額】
- 最大200万円
【対象経費】
- 人件費
- 店舗等借料
- 設備費
- 原材料費
- マーケティング調査費
- 広報費
など
助成金・補助金3:羽曳野市地域活性創業支援補助金(大阪・羽曳野市)
大阪府羽曳野市での新規創業促進のため、設備費用や店舗改装に係る費用を支援する補助金です。
【対象者・要件など】
- 曳野市内に主たる事業所を置いて創業する者
- 特定創業支援等事業を受けた者
- 必要な許認可を受けること
【補助上限額】
- 20万円
【補助率】
- 1/2
【対象経費】
- 事務所設備費用
- 備品購入費用
- 店舗棟の改装費用
【最新版】飲食店開業後に申請可能な補助金・助成金
飲食店開業後に申請ができる助成金・補助金は、国や都道府県・市区町村の公共団体などさまざまな場所で募集しています。ぜひ申請してうまく活用し、リスクを抑えながら飲食店経営を継続・発展させましょう。
こちらでは、現在申請できる代表的な補助金・助成金をご紹介します。(2024年6月時点)
助成金・補助金1:小規模事業者持続化補助金(経済産業省)
個人事業主・小規模事業者の、事業の販路開拓・生産性向上を支援する補助金です。
【対象者・要件など】
- 個人事業主
- 従業員数5~20人程度の小規模事業者
【補助上限額】
- 通常枠:50万円
- 特別枠:200万円
※ インボイス特例が適用される場合は補助上限額に一律50万円上乗せ
【補助率】
- 2/3~3/4(申請枠によって異なる)
【対象経費】
- 機械装置等費
- 広報費
- ウェブサイト関連費
- 展示会等出展費
- 旅費
- 新商品開発費
- 資料購入費
- 委託・外注費
など
助成金・補助金2:IT導入補助金(中小企業庁)
中小企業・小規模事業者のITツールの導入によるインボイス対応や業務効率化を支援する補助金です。
【対象者・要件など】
- 中小企業、小規模事業者
- IT導入支援事業者を通してITツールの購入と申請を行い、デジタル化による業務効率化やセキュリティ対策に取組む
【補助上限額】
- 通常枠:450万円
- インボイス枠(電子取引類型/インボイス対応類型):【ソフト】350万円・【PC、レジなど】
~20万円
- セキュリティ対策推進枠:100万円
- 複数社連携IT導入枠:3,200万円(参画事業者数によって異なる)
【補助率】
- ソフトウェア:1/2~4/5
- ハードウェア:1/2
【対象経費】
- ソフトウェア購入費
- クラウド利用費(最大2年分)
- サービス利用料(最大2年分)
- ソフトウェア導入に必要なハードウェア購入費
など
助成金・補助金3:ものづくり補助金(中小企業庁)
中小企業、小規模・再生事業者の、生産性向上・持続的な賃上げに向けて開発や生産プロセスの省力化を狙った設備投資を支援する補助金です。
【対象者・要件など】
- 中小企業
- 小規模・再生事業者
- 以下1 ~ 3の基本要件を目指す3~5年の事業計画に取組むこと
- 付加価値額の年平均3%増加
- 給与支給総額の年1.5%増加
- 事業場内最低賃金が地域別最低賃金+30円以上
【補助上限額】
- 省力化(オーダーメイド)枠:750万円~8,000万円
- 製品・サービス高付加価値化枠:750万円~2,500万円(従業員規模によって異なる)
- グローバル枠:3,000万円
【補助率】
- 中小企業:1/2
- 小規模・再生事業者:2/3(1,500万円を超える部分は補助率が下がる)
【対象経費】
- 機械装置・システム構築費
- 技術導入費
- 専門家経費
- 運搬費
- 原材料費
- クラウドサービス利用料
- 海外旅費
- 通訳・翻訳費
など
助成金・補助金4:事業再構築補助金(経済産業省)
中小企業・中堅金業の、ポストコロナや物価上昇の社会変化に対応するための思い切った事業再構築を支援する補助金です。
【対象者・要件など】
- 日本国内に本社を有する中小企業
- 中堅企業
【補助上限額】
- 中小企業:最大1億円
- 中堅企業:最大1.5億円
【補助率】
- 1/3~3/4(申請枠、条件によって異なる)
【対象経費】
- 建物費
- 機械装置・システム構築費
- 外注費
- 広告宣伝・販売促進費
など
助成金・補助金5:インバウンド対応力強化支援補助金(東京都)
東京都内事業者の、外国人旅行者への利便性や快適性を向上させるための取組みを支援する補助金です。
【対象者・要件など】
- 宿泊施設
- 飲食店
- 中小企業者
- 個人事業主
- 組合団体
など
【補助上限額】
- 飲食店1店舗にあたり最大300万円(対象事業によって異なる)
【補助率】
- 1/2
【対象経費】
- 工事費
- 制作費・開発費
- 機械装置等費
- 専門家謝金
- 借料
- 委託費
など
飲食店開業による補助金・助成金申請時の注意点
ここまで様々な補助金・助成金を紹介してきましたが、申請時にはいくつかの注意が必要です。ここでは5つの注意点を紹介します。
注意点1:公募期間
補助金や助成金は、公募期間が短く約1週間ほどで締め切られるようなものがあります。
また、定員に達した場合、公募期間中に募集が終了していることもあるため注意が必要です。
注意点2:申請書類
申請書類や添付書類に不備や不足がある場合、補助の対象外となるため注意しましょう。
また、補助事業を実施した際の見積書、発注書、領収書などは、後に「証拠書類」として提出するため、整理して保管しておく必要があります。
注意点3:補助事業の開始時期
補助事業を開始できるのは、原則、交付決定通知(審査に通過した通知)を受けた後になるため、交付決定を受ける前に購入したものや導入したサービスの経費は補助対象外になります。
注意点4:補助金の交付時期
補助金や助成金は原則後払いであるため、飲食店の補助事業や開業時の経費を補助金や助成金で支払うことはできません。
注意点5:補助金の併用
同じ事業者が同じ事業内容で国が実施する助成金や補助金を併用することはできない可能性が高いです。
地方別の補助金・助成金
各自治体では、地域の事業者や起業家を支援するために、さまざまな補助金や助成金が用意されています。これらの制度は、開業資金の一部を補助したり、設備投資や運転資金を支援します。たとえば、大阪府などの大都市圏から、福岡県といった地方都市まで、自治体ごとに異なる内容の補助金・助成金が提供されています。事業を展開する地域に合わせて、適切な支援を活用することが成功のカギとなるでしょう。
都道府県 | 補助金・助成金の情報 |
東京都 | 現在該当なし |
神奈川県 | 現在該当なし |
埼玉県 | <美里町>町内農産品販売促進事業:美里町で生産される農産物や加工品の販売を推進するための支援制度です。令和6年に新たに設けられた「加工所等開設支援事業」では、キッチンカーの導入にかかる費用も補助対象として含まれています。最大50万円補助。
https://www.town.saitama-misato.lg.jp/0000000980.html |
千葉県 | <南房総市>南房総市がんばる事業者支援事業補助金(移動販売導入支援事業):市内における起業や既存事業の機能強化、新たな分野への取組や地域雇用を創出する事業者を支援。最大100万円補助。
https://www.city.minamiboso.chiba.jp/0000020113.html |
大阪府 | <大阪狭山市>移動販売等導入事業補助金:地域産業の発展及び地域経済の活性化を図るため、市内で新たにキッチンカー又は移動販売車を導入して移動販売を実施する者に対し、導入に係る経費の一部を補助。最大30万円補助。
https://www.city.osakasayama.osaka.jp/sosiki/siminseikatsubu/sangyounigiwaizukuri/4/3/1655189463382.html |
兵庫県 | 現在該当なし |
京都府 | 現在該当なし |
福岡県 | <久留米市>久留米市販路開拓促進事業費補助金:キッチンカー導入事業 :市内中小企業者の販路開拓を促進するため、キッチンカーを導入して新たに移動販売に取り組む事業者を支援。最大30万円補助。
https://www.city.kurume.fukuoka.jp/1090sangyou/2020shoukougyou/3020joseiseido/2023-0420-1218-368.html |
助成金・補助金情報の調べ方
キッチンカー開業にあたり利用できる助成金・補助金はどのように調べれば良いのでしょうか。ここでは、支援制度を効率よく調べる方法について解説します。自分のビジネスに合った制度を見つけ、資金面でのサポートを得るための第一歩を踏み出しましょう。
地方自治体のホームページで検索
最も基本的な方法は、各地方自治体の公式ホームページを確認することです。多くの自治体では、地域特有の助成金や補助金の情報を公開しています。定期的にチェックし、最新の情報を見逃さないようにしましょう。ただし、自治体ごとに情報が分散しているため、時間がかかることもあります。
RSSリーダーやGoogleアラートを活用
複数の自治体サイトを毎日確認するのは難しいため、RSSリーダーやGoogleアラートを活用するのがおすすめです。これにより、指定したホームページの更新情報や関連キーワードの新着情報を効率的に取得できます。たとえば、Googleアラートで「助成金 〇〇市」を設定しておけば、新着情報をメールで受け取ることができます。
J-Net21の活用
中小企業基盤整備機構が運営する「J-Net21」では、都道府県ごとや業種別に助成金・補助金を検索できます。開催期間や応募条件なども確認できるため、全国規模で助成金を調べる際に便利なツールです。
ポータルサイトの利用
「J-Net21」以外にも、補助金や助成金をまとめたポータルサイトがあります。「補助金ポータル」や「スマート補助金」などは、助成金額や申請期間で検索結果をフィルタリングできるため、条件に合った制度を効率よく見つけることができます。
商工会議所に相談
インターネット上で調べても分かりにくい場合は、商工会議所に直接相談するのも効果的です。商工会議所では、専門家のサポートも提供しており、申請手続きに関するアドバイスも受けられます。専門的な相談が必要な場合は、税理士や公認会計士、中小企業診断士などと連携して対応してくれることが多いので、利用を検討してみましょう。
以上の方法を組み合わせることで、助成金・補助金の情報を効率的に集めることができ、事業の成功に向けた資金調達がスムーズに進むでしょう。
飲食店開業の相談は”Mellow”
飲食店開業をお考えの方には、キッチンカー開業のためのプラットフォーム『Mellow』を活用することがおすすめです。
Mellowは、キッチンカーの開業および経営支援と、都心部でのキッチンカーと出店場所のマッチングを行なうプラットフォームです。
Mellowはキッチンカーの開業を検討されている方に無料の開業相談を行っており、キッチンカーの営業データをもとにしたリアルな開業・経営アドバイスをさせていただきます。
初めて飲食店を開業する方も、Mellowを活用すれば安心して事業を始めることができます。
まとめ
今回の記事では、飲食店の開業時や開業後に利用することができる補助金・助成金をご紹介しました。国や都道府県・市区町村でさまざまな支援事業が行われています。今回紹介したものはほんの一部であるため、ぜひ地域の補助金・助成金を調べてみましょう。
補助金・助成金をうまく活用することで、リスクを抑えながら飲食店経営にチャレンジすることができます。公募期間や補助事業の開始時期といった注意点に気を付けつつ、積極的に活用しましょう。