飲食店の開業にはどのような資格が必要なのでしょうか?「調理師免許は必要?」と疑問に思う方も多いでしょう。
本記事では、これから飲食店を開業しようと考えている方に、必要な資格とその取得方法をわかりやすくご紹介します。自分のお店を持つ夢を実現する第一歩を踏み出しましょう。
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飲食店の開業に必要な資格と取得方法
必須は「食品衛生責任者」と「防火管理者」です。
① 食品衛生責任者
飲食店を開く際、衛生面の管理を証明する「食品衛生責任者」の資格が必須です。この資格は、飲食店における衛生管理の責任者として、保健所に登録する必要があります。資格の取得には、都道府県の食品衛生協会が実施する講習を受け、試験に合格する必要があります。講習時間は6時間程度、費用は約1万円となっています。調理師免許や栄養士免許を持っている場合は、この資格は不要です。
② 防火管理者
飲食店開業時には、「防火管理者」の資格も必要になることがあります。この資格は、店舗が一定の条件(収容人数が30名以上、または延べ面積が300㎡以上)を満たす場合に必要です。資格取得には、日本防火・防災協会が提供する講習を受け、試験に合格する必要があります。甲種は2日間、乙種は1日の講習で、費用はそれぞれ7,500円、6,500円です。
バー・居酒屋を開業する際に必要な届出
深夜営業を計画するバーや居酒屋では、「深夜酒類提供飲食店営業」の届出が必要です。この届出は、深夜0時以降に酒類を提供する場合に所轄の警察署に必要となります。届出を怠ると営業停止などの重い罰則が科される可能性があるため、開業前にしっかりと手続きを行いましょう。
飲食店の開業に必要な申請一覧
飲食店を開業する際には、様々な申請や届出が必要です。ここでは、飲食店開業に必要な申請一覧を詳しく紹介します。
保健所
- 届出・申請:飲食店営業許可
- 対象:全店舗
- 届出時期:店舗完成の10日ほど前まで
消防署
- 届出・申請:防火管理者選任届
- 対象:収容人数30名を超える店舗
- 届出時期:営業開始まで
- 届出・申請:防火対象設備使用開始届 / 火を使用する設備等の設置届
- 対象:建物や建物の一部を新たに使用し始める場合 / 火を使用する設備を設置する場合
- 届出時期:使用開始7日前まで※管轄の消防署へ確認 / 設備設置前まで
警察署
- 届出・申請:深夜酒類提供飲食店営業開始届出書
- 対象:深夜12時以降もお酒を提供する場合
- 届出時期:営業開始の10日前まで
- 届出・申請:風俗営業許可申請
- 対象:客に接待行為を行う場合(スナック・キャバクラなど)
- 届出時期:営業開始の約2か月前まで
税務署
- 届出・申請:個人事業の開業届
- 対象:個人で開業する場合
- 届出時期:開業日から1ヶ月以内
労働基準監督署
- 届出・申請:労災保険の加入手続き
- 対象:従業員を雇う場合
- 届出時期:雇用する日の翌日から10日以内
ハローワーク
- 届出・申請:雇用保険の加入手続き
- 対象:従業員を雇う場合
- 届出時期:雇用する日の翌日から10日以内
社会保険事務所
- 届出・申請:社会保険の加入手続き
- 対象:法人の場合は強制加入。個人の場合は任意加入
- 届出時期:できるだけ速やかに
開業前にこれらの申請や届出を行うことで、スムーズに事業を開始するための準備を整えることができます。それぞれの手続きの詳細については、対象となる機関に直接問い合わせることをお勧めします。
調理師免許は必須ではない
調理師免許は、調理技術や食に関する知識を証明する資格ですが、飲食店開業には必須ではありません。食品衛生責任者や防火管理者の資格は必要ですが、調理師免許は法律上の義務ではないのです。しかし、調理師免許を持つことで、専門的な知識を持っていることが証明でき、社会的な信用を得られるメリットがあります。飲食店開業を目指す方には、取得を検討する価値がある資格です。
調理師免許を取得するメリット
調理師免許を取得してはじめて「調理師」と名乗ることができます。調理師免許を取得して調理師を名乗ることのメリットは主に以下の3点です。
- 社会的な信用を得られる
- 「調理師」として名乗ることで、顧客や取引先からの信頼を得やすくなり、社会的な信用が高まります。
- 幅広い知識の習得
- 試験を通じて、公衆衛生学、食品学、栄養学、食品衛生学、調理理論、食文化概論などの専門知識を学べます。
- 就職・転職の優位性
- 免許を持っていることで、一定の技術や知識があることを証明でき、飲食店やレストランなどへの再就職が有利になります。
このように、調理師免許を取得することは多くのメリットがあります。キッチンカー経営に必須な免許ではありませんが、取得しておくと役に立つでしょう。
調理師免許を取得する手順
調理師免許を取得するには、主に2つの方法があります。「調理師試験に合格して免許を申請・取得する」方法と、「調理師養成施設を卒業して免許を申請・取得する」方法です。それぞれの手順について詳しく見てみましょう。
調理師試験に合格して免許を申請・取得する方法
- 調理業務の従事
- 以下のいずれかで2年以上の調理業務経験が必要です。
- 飲食店営業
- 魚介類販売業
- そうざい製造業・複合型そうざい製造業
- 寄宿舎・学校・病院などの給食施設
- 労働内容によっては「調理業務に従事」と判断されないことがあるため、注意が必要です。
- 受験申請書類の提出
- 調理技術技能センターに受験申請用書類を提出します。
- 受験料は都道府県によって異なりますが、2022年度の東京都の場合は6,400円でした。
- 調理師試験の受験
- 試験はマークシート方式で、公衆衛生学、食品学、栄養学、食品衛生学、調理理論、食文化概論の全60問が出題されます。
- 2021年度の全国平均合格率は65.6%です。
- 合格後の免許申請
- 試験に合格したら、必要な書類を揃えて免許申請を行います。
調理師養成施設を卒業して免許を申請・取得する方法
- 調理師学校への入学
- 厚生労働大臣指定の調理師養成施設に入学します。
- 必要なカリキュラムの修了
- 学校で指定されたカリキュラムを修了します。
- 卒業後の免許申請
- 卒業後、居住地の自治体の知事に免許を申請します。
どちらの方法を選んでも、調理師免許を取得することで、専門的な知識と技術を身につけ、社会的な信用を得ることができます。また、飲食店の開業や転職にも有利に働きます。
小規模飲食店開業に必要な資格
小規模飲食店開業に必要な資格は二つあります。
① 食品衛生責任者: 食品販売などの営業施設で、製造や調理、販売等が衛生的に行われるように管理する責任者。
② 防火管理者(建物の収容人数は30人を超える場合): 消防法に基づき建物や施設内の火災予防対策を統括・管理する責任者。
どちらも講習受講で取得することができます。 なお、「調理師免許」は飲食店開業に必須ではありません。
小規模飲食店を開業するメリット
小規模飲食店を開業する最大のメリットは、初期費用や維持費を抑えられ、経営リスクを低減できる点です。狭い店内ゆえ細やかな接客が可能で、顧客満足度が向上し、リピーター確保につながります。さらに状況把握が容易なため、迅速なメニュー改良や改善策の実施が可能です。結果的に長期的な経営基盤の強化が期待できるでしょう。
海外で開業する場合に必要な資格
海外で開業する際は、進出先の国や業種によって要求される資格・許可が変わります。飲食店なら、食品衛生関連の資格や営業許可証、さらには現地での法人登録や税務申告手続きが求められることもあります。また、労働許可やビザなど、現地での合法的な活動を支える手続きも重要です。事前に該当国の法規制を確認し、専門家や現地当局に相談することで、スムーズな開業を実現できるでしょう。
現地の法律を確認
海外で飲食店を開業するには、進出先ごとに必要な資格や許可が異なります。たとえば台湾では投資許可申請や会社設立許可、営業許可証の取得が求められ、シンガポールでは日本人シェフの派遣が難しいケースもあります。こうした要件を正しく理解し、現地の専門家に相談することで、手続き漏れや法令違反を避け、スムーズな開業が可能となります。事前準備を徹底し、安心して海外展開に臨みましょう。そうすることで、長期的な成功が見込めます。
海外で開業するメリット
海外で開業するメリットは、販路拡大やリスク分散が可能になり、高価格設定も期待できる点にあります。成長著しい海外市場へ出店すれば、新たな顧客層を獲得でき、売上拡大につながります。また、日本国内の経済状況に左右されにくく、収益の安定化が図れる点も魅力です。ただし、現地の物価水準や競合環境を事前に調査し、慎重な戦略を練る必要があります。総合的に考えれば、海外進出はビジネスの成長と安定化に役立つ選択肢となるでしょう。
まとめ
飲食店を開業するには、食品衛生責任者や防火管理者などの資格が必須です。また、バーや居酒屋など深夜営業を行う場合は特別な届出が必要になります。必要な手続きをしっかりと行い、夢のお店開業に向けて準備を進めましょう。
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執筆者:Mellow編集部
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