社内イベントの食事をキッチンカーで用意する場合、ケータリングや仕出し弁当と何が違うのか。この記事では、参加人数と会場条件からの選び方を整理し、手配の流れ、主催者が負担する費用の考え方、当日までに準備する電源とスペースの条件までを、判断に必要な制約とあわせて解説します。
社内イベントの飲食手配で使える3つの選択肢
社内の懇親会、ファミリーデー、運動会、周年行事の飲食手配では、キッチンカー、ケータリング、仕出し弁当の3つが主な選択肢になります。どれが優れているという話ではなく、会場の条件と提供時間の設計によって、成立する手段が変わります。
キッチンカーは、屋外または半屋外の会場で、参加者が自分のタイミングで受け取りに来る形に向いています。調理したての料理を提供でき、車両そのものが会場の演出になります。ケータリングは、屋内の会場に料理を運び込み、ビュッフェ形式などで一斉に提供する形に向いています。会場に厨房設備が無くても実施でき、屋内・屋外を問わず選べる点が強みです。仕出し弁当は、参加人数が確定していて、短い休憩時間に一人ひとりへ配りきる必要がある場合に向いています。配布の手間が最も少なく、人数の把握と精算が単純です。
費用は、会場、人数、品目、提供時間によって大きく変わります。3つの手段を横並びの単価で比べることは難しいため、条件を揃えた見積もりを複数の手段で取り、総額と当日の運営負荷の両面で比較する進め方が現実的です。
キッチンカーが向く会場と向かない会場
キッチンカーが成立するかどうかは、次の4条件で判断できます。屋外または半屋外のスペースがあること、車両が通れる搬入経路があること、営業中に車両を停めておける駐車スペースがあること、電源を確保できることの4点です。この4点が揃えば、多くの会場で実施できます。
これに対して、次のような条件では他の手段のほうが適します。屋内の会議室やホールだけで、車両を敷地内に入れる経路が確保できない会場では実施できません。地下駐車場や立体駐車場は高さ制限で入れない場合があります。また、休憩時間が15分程度しかなく、その間に全員へ配りきる必要がある場合は、調理と受け渡しに時間がかかるキッチンカーより、仕出し弁当のほうが確実です。参加者が着席したまま料理を受け取る進行を組んでいる場合も、ケータリングのほうが設計に合います。
参加人数から必要台数を見積もる
必要な台数は、参加人数だけでは決まりません。提供する時間帯の長さ、品目の調理時間、参加者が受け取りに来るタイミングの分散度合いという3つの要素が効きます。同じ200人でも、2時間かけて自由に受け取る形と、30分に集中する形では、必要な台数が変わります。
1台から手配できます。1台あたりに何食まで対応できるかは、品目と調理体制によって幅があるため、この記事では一律の目安を示しません。参加人数、提供する時間帯、参加者のうち何割が受け取る想定かの3点をお知らせいただければ、必要台数の見当をお伝えします。複数台を呼ぶ場合は、同じジャンルに偏らないよう品目を組み合わせると、待ち時間が分散します。
主催者が負担する費用の考え方
主催者が負担する金額は、当日の販売形式によって決まります。形式は3つあります。
商品買取形式は、主催者が商品を買い取って参加者へ無料で配る形です。支払うのは商品代と交通費で、参加者の負担はありません。社内イベントで会社が食事を提供する形にする場合は、この形式が該当します。
売上保証形式は、主催者が最低売上を保証する形です。支払うのは保証額と実際の売上との差額で、参加者が自分で購入した金額が保証額に届けば、主催者の負担は発生しません。参加者に各自で購入してもらいつつ、出店する事業者の売上リスクを主催者が引き受ける中間の形です。
通常出店形式は、キッチンカーが参加者へ直接販売する形です。出店する事業者から見て売上が見込める集客力がある場合に限り、主催者の出店料負担は発生しません。ただし、この形式でも電源、給排水、ごみ処理など会場側で用意する費用は主催者の負担です。社内イベントは参加人数が読みやすい反面、屋内での飲食提供が別途ある場合など、購入者数が想定を下回る条件もあるため、集客の見込みは事前にすり合わせます。
雨天時と当日トラブルへの備え
屋外のイベントで最初に決めておくのは、中止を判断する期限と、その判断の基準です。前日の何時までに、どの天気予報を見て判断するのかを、契約の段階で取り決めます。
キャンセル料は、出店者が決まる前は無料です。出店者が決まったあとは、開催30日前を目安に発生します。金額は30日前で11,000円、15〜29日前で22,000円、8〜14日前で33,000円、7日前から当日は55,000円ですが、いずれも目安であり、イベントの規模や内容によって変わります。雨天による中止の場合もキャンセル料の対象です。雨天が読みにくい時期に開催する場合は、屋根のある場所へ移せる会場を選ぶか、荒天時の代替日をあらかじめ設定しておくと、費用の発生を抑えられます。
当日の運営体制で決めておくこと
当日は、搬入時間、設営位置、電源の引き回し、ごみの回収方法、参加者の受け取り動線、支払い方法の6点を事前に決めておくと、進行が滞りません。とくに支払い方法は、商品買取形式で無料配布にするのか、参加者が各自で支払うのかによって、当日の案内文が変わります。
社内の担当者側では、当日の連絡窓口を1名決めておくと、搬入や設営の判断が早くなります。会場の管理者が別にいる場合は、搬入の許可と時間帯を事前に共有しておきます。
日常の福利厚生として続ける場合の税務上の扱い
単発のイベントではなく、社内へ定期的にキッチンカーを呼んで食事を提供する場合は、食事の現物支給に関する所得税の扱いを確認しておく必要があります。
国税庁のタックスアンサーNo.2594によると、役員や使用人に食事を支給する場合、次の2つの要件をどちらも満たすときは、給与として課税されません。1つは、役員や使用人が食事の価額の半分以上を負担していること。もう一つは、会社の負担額が1か月あたり7,500円(消費税および地方消費税の額を除く)以下であることです。この7,500円という金額は、令和8年4月1日以後に支給する食事について適用されます。判定は消費税および地方消費税の額を除いた金額で行い、10円未満の端数は切り捨てます。
ウェブ上の解説記事には、改定前の金額のまま更新されていないものが残っています。金額を確認する際は、国税庁の該当ページをご覧ください。
出典:国税庁 タックスアンサー No.2594「食事を支給したとき」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2594.htm
なお、自社の支給形態がこの要件を満たすかどうかは、支給の方法、参加者の負担割合、金額の集計方法によって判断が分かれます。個別の適用可否は、税理士または所轄の税務署へご確認ください。
よくある質問
屋内の会場でもキッチンカーを呼べますか
車両を敷地内に入れる搬入経路と、営業中に停めておくスペースが確保できるかで決まります。屋内の会議室やホールだけで完結する会場では実施できません。建物の前の広場や駐車場など、屋外または半屋外のスペースを使える場合は実施できます。会場の図面か区画の寸法をお送りいただければ、実施できるかどうかをお答えします。
何人くらいの規模から選択肢になりますか
参加人数の下限は設けておらず、1台から手配できます。判断の基準は人数よりも提供時間で、参加者が受け取りに来る時間帯をある程度の幅で取れるかどうかが効きます。休憩時間が短く一斉に配る必要がある場合は、人数にかかわらず仕出し弁当のほうが確実です。人数と時間帯をお知らせいただければ、成立するかをお答えします。
雨で中止になった場合、費用はどうなりますか
出店者が決まったあとの中止は、雨天であってもキャンセル料の対象です。キャンセル料は開催30日前を目安に発生し、金額は30日前で11,000円、15〜29日前で22,000円、8〜14日前で33,000円、7日前から当日は55,000円ですが、いずれも目安であり、イベントの規模や内容によって変わります。中止を判断する期限と条件は事前に契約で取り決めるため、荒天が想定される時期は代替日の設定もあわせてご相談ください。
いつまでに相談すればよいですか
開催の1.5ヶ月前までのご相談が目安です。希望条件の確認、見積もり、出店者の募集と決定、契約、当日の運営体制の準備という段取りがあり、出店者の募集と決定に日数がかかるためです。これより直前でもご相談は受け付けますが、出店できる事業者と品目の選択肢は狭まります。
社員へ無料で配る場合、税金はかかりますか
単発のイベントでの飲食提供と、日常的な食事の支給とでは扱いが分かれます。定期的な食事の支給については、本人が食事の価額の半分以上を負担し、会社の負担が1か月あたり7,500円以下であれば給与課税されない旨が国税庁のタックスアンサーNo.2594に示されています。自社の形態が該当するかは、税理士または所轄の税務署へご確認ください。
社内イベントの飲食手配についてご相談ください
Mellowは、全国のキッチンカーの出店を支援してきた会社です。社内イベントの規模、会場の条件、提供したい時間帯をうかがったうえで、キッチンカーで成立するかどうかと、必要な台数、費用の形式をお伝えします。他の手段のほうが適していると判断した場合は、その旨もあわせてお伝えします。
イベントにキッチンカーを呼ぶ方向けの記事
➡️ キッチンカーを呼ぶには|3形式の費用相場と依頼先の選び方
商品買取・売上保証・通常出店の3形式で、主催者の支払額がどう決まるかを解説しています。
東京・千葉・埼玉・大阪・兵庫・愛知の6都府県について、出店エリアと会場側の条件をまとめています。
学生主体の運営に合わせた手配の進め方を解説しています。
集客効果と費用の考え方を解説しています。
執筆者:Mellow編集部
キッチンカーマガジンは、キッチンカー(フードトラック)に特化した情報を発信する専門メディアです。導入事例や経営ノウハウ、営業に関する手続きまで幅広く網羅しており、これから始める方や運営中の方に役立つ実践的な情報が満載です。また、数々のスポーツから国際イベントまで豊富なサポート実績から、イベントの企画/キッチンカーの誘致に関する情報もお届けします。
監修者
石澤 正芳
株式会社Mellow 代表取締役社長兼CEO
2000年代初頭、キッチンカー事業者の「個の強さ」に感銘を受け、自身でキッチンカーを開業。
その後、空きスペースとキッチンカーのマッチング事業を立ち上げ、当時都内最大規模まで成長させる。その経験から移動販売ビジネスのDXに着目し、2016年株式会社Mellowを共同創業。
2018年より代表取締役。社会にとってより良い持続可能な賑わい創出、ローカルコミュニティの再構築など、様々なステークホルダー視点を取り入れながらキッチンカーのプラットフォームを創造している。
向 剛志
株式会社Mellow 執行役員
大手グルメ情報サイト「ぐるなび」で、営業や投資チームに所属。東名阪 1,000店舗以上の飲食店販促や経営支援に従事したのち、 モビリティプラットフォーム「SHOP STOP」を運営する株式会社Mellowへ入社。キッチンカー開業支援事業を立ち上げ。これまで300店舗以上のキッチンカー開業相談を請け負っている。