飲食店経営では「売上に対する家賃の比率を10%に抑えるべき」というセオリーを見聞きしたことがある人も多いのではないでしょうか。コロナの影響を受け経営が厳しくなっている今、家賃比率はどの程度が適正なのかを改めて検討し、家賃比率を抑えることで生じるリスクについても把握しておくことが大切です。
目次
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- 家賃比率を考える前に。飲食店における3つの売上
- 客数と客単価
- 客席数と回転数
- 坪当たりの売上
- 飲食店の家賃に対して必要な売上の計算方法
- 家賃20万円の場合
- 営業日数で計算
- 座席数で計算
- 客単価で計算
- 飲食店の家賃を抑えた場合のリスク
- 立地条件は客足に影響する
- 自宅を改装した店は客層のコントロールが難しい
- 飲食店の家賃比率を下げる4つの方法
- 1.休業日を作らない
- 2.二毛作営業を始める
- 3.デリバリーを始める
- 4.キッチンカー(移動販売)への業態転換
- 飲食店の家賃比率を見直して自分に合った営業形態を選ぼう
- キッチンカーに関する主な記事
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- キッチンカーの出店場所をお探しの方
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家賃比率を考える前に。飲食店における3つの売上
飲食店経営の大切な指標である家賃比率を考える前に、まずは飲食店における売上について解説します。飲食店経営では、客数と回転数、さらに坪当たりの売上の3つの観点があります。
客数と客単価
飲食店の売上を計算する公式の1つが「売上=客数×客単価」。客単価とは、1回の来店で1人のお客様が支払う金額のことを指します。客数を「新規客数」と「リピート客数」に分けて考えると客層が見えやすくなるでしょう。売上を上げるためには、客数を増やすか客単価を上げるか、またはその両方が必要です。
客席数と回転数
飲食店の売上を計算するもう1つの公式は「売上=席数×回転数×客単価」。店舗の席数と1つの席に何回お客様が座るか(回転数)は飲食店によって異なります。例えば、客単価が低いファストフード店では回転率が高く、客単価が高い高級割烹では回転率が低い傾向があります。
また、満卓は満席とイコールではないことも押さえておくべきポイントです。例えば、4人掛けテーブルが5つあるお店で、2人組のお客様が5組来店した場合、テーブルはすべて埋まるので満卓となりますが、客席稼働率は50%です。客席稼働率を上げるためには、カウンター席や2人掛けテーブルを設置する方法があります。また、4人掛けテーブルも相席ができるレイアウトや雰囲気づくりをするといった工夫で客席稼働率がUP。ちなみに、飲食店の平均客席稼働率は60~70%です。
坪当たりの売上
飲食店における3つ目の売上は、坪当たりの売上です。店舗の面積に対してどれだけの売上があるのかの指標となるので、しっかりと把握しておくことが大切です。坪当たりの売上は、店舗全体の面積からキッチンの面積を引いたホールの面積で計算します。一般的に、レストランはキッチン40%、ホール60%の割合になる事が多く、居酒屋はキッチン30%、ホール70%、カフェやバーはキッチン20%、ホール80%となります。坪当たりの売上は月に15万円が標準。10万円以下だと経営が厳しく、20万円以上だと繁盛していると言えるでしょう。
飲食店の家賃に対して必要な売上の計算方法
飲食店を経営する場合、家賃に対して必要な売上額を把握しておくことが大切です。飲食店の家賃比率は売上高に対比して10%以内に抑えるべきというセオリーはあながち間違いではないでしょう。ただし、開店したばかりなど状況によっては達成が難しい数字です。ここでは、家賃に対して必要な売上を見ていきます。
家賃20万円の場合
毎月の家賃が20万円掛かる固定店舗で飲食店を経営する、という条件で考えてみましょう。家賃を売上の10%以内に抑えるならば、毎月の売上は「200,000円×10=2,000,000円」になります。つまり、月の売上が200万円あれば、適正な売上と言えるのです。
営業日数で計算
月の売上を200万円上げるためには、1日の売上はいくら必要でしょうか。営業日数(月に何日開店しているか)を使って、1日の売上を計算することができます。例えば、月に20日営業している場合は「2,000,000円÷20日=100,000円」となります。つまり、1日10万円の売上で、適正な売上が達成できる計算です。ちなみに、営業日数が月に25日の場合は1日8万円の売上、休みなしで月30日営業する場合は1日におよそ6.6万円の売上が必要となります。
座席数で計算
店内に設置している座席数で1日の売上を計算する方法もあります。月に20日営業する場合、1日に必要な売上は10万円を席数で割ると、1つの座席における1日の必要な売上が計算できます。例えば、店内の座席数が25席の場合は「100,000円÷25席=4,000円」です。座席数が20席の場合は、5,000円となります。
客単価で計算
また、客単価で売上を計算する方法もあります。先ほど計算したように、店内の座席数が25席の場合は1つの座席が1日に4,000円の売上を出さなければなりません。客単価が4,000円なら、客席の回転率は1回転でOKとなります。客単価が3,000円なら、1.3回転必要です。目標とする来客数も売上から逆算して考えることができます。客単価が3,000円の場合は「100,000円÷3,000円=33.3人」となり、適正売上を達成するためには1日に34人のお客様が必要です。
飲食店の家賃を抑えた場合のリスク
もちろん、家賃が安い物件で飲食店を開業すれば、売上がそれほど伸びなくても経営が可能になるでしょう。ただし、住宅と同様に店舗物件であっても家賃の安さには何か理由があるはずです。飲食店の家賃を抑えた場合はどのようなリスクが想定されるでしょうか。
立地条件は客足に影響する
家賃が安い物件は、最寄り駅や大きな道路から離れている場所なのかもしれません。急な階段を上る上階や、店舗周辺の治安が悪い場所かもしれません。こうした立地条件は客足に影響を及ぼすので、いくら家賃が抑えられるといっても忘れずに確認しましょう。
自宅を改装した店は客層のコントロールが難しい
所有している自宅を改装して飲食店を開業する場合、家賃が掛からないので費用を抑えることができます。そのかわり、自宅を飲食店にするための改装費用が掛かります。自宅が住宅街にある場合は、最寄駅からの距離や車を停めるスペースの有無などが客足に影響します。ターゲットとする客層が近くにいるのかもポイントです。自宅周辺に高校や大学がある場所なら、学生のお客様が見込めるでしょう。
飲食店の家賃比率を下げる4つの方法
家賃比率を下げることは、 飲食店経営をするにあたって非常に重要なポイントです。 物件の家賃は、経費において大きな比重を占めています。また、営業時間以外も常に家賃が発生していることを忘れてはなりません。
1.休業日を作らない
お店が休みの日でも家賃は発生しています。休業日を作らず営業日数を増やすことで売上を増やせば、相対的に家賃比率を下げられるでしょう。とはいえ、無休で働き続けるのは体力的にも厳しいはず。オーナーであるご自身が休みをとっても、別のスタッフでお店を回せるように育成すると家賃が無駄になりません。
2.二毛作営業を始める
営業時間以外でも家賃は発生していると考え、お店の営業時間外に他の業務をする二毛作営業を始める方法も。ランチ営業が無い飲食店で、ランチにパスタレストランやカレー屋、カフェを営業するといったスタイルです。時間帯によって店舗を使い分けることで、店舗をフルに活用できます。ただし、二毛作営業を始めたい場合は大家さんに転賃と思われないよう、事前に相談しておきましょう。
3.デリバリーを始める
家賃比率を下げる方法として、デリバリーを始める飲食店も増えています。最近では、コロナの影響を受けデリバリー需要が高まっていることも理由の1つ。宅配代行サービスも増え、配達システムが整っていない小規模飲食店でもデリバリーを始めやすくなっています。無料で登録できるデリバリーアプリ「menu」等を利用して、効果的に宣伝を行う店舗も少なくありません。
4.キッチンカー(移動販売)への業態転換
飲食店の家賃比率を下げる方法として、固定店舗ではなくキッチンカーでの移動販売へ業態転換を図る方法もあります。ただし、家賃が掛からないかわりにキッチンカーの購入費あるいはリース代が掛かるので、実際にどちらがお得なのか確認しましょう。テイクアウトが主流のキッチンカーでは、人手が少なくて済むため人件費が抑えられるメリットも。コロナ禍においても3密を回避して営業できる強みもあります。ちなみに、キッチンカーの一般的な年収は400万円~500万円、平均月収は30万円~40万円といわれます。
飲食店の家賃比率を見直して自分に合った営業形態を選ぼう
家賃に対する適正売上をしっかり把握して自分に合った業務形態を選ぶことは、飲食店経営に置いては非常に大切なポイントです。店舗の広さや立地、ターゲットとする客層によって目標となる売上も変わってきます。固定店舗だけでなくキッチンカー(移動販売)も視野に入れて、自分に合った営業形態を考えてみると良いかもしれません。
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