自分の豊かさに向き合い、自ら選んだ道を進んできたキッチンカーの方々。そんな彼らの生き方のなかに、自分らしく生きるヒントがあるはず。それぞれの豊かさを、それぞれの想いで叶えるひとに迫るシリーズです。
目次
- 開業実績多数!無料キッチンカーセミナー開催中
- ジャークチキンのキッチンカー『ISLAND KITCHEN』
- カリブ海の料理を広めたい
- 確かなアレンジ力。「自分のもの」にするために研鑽を積む日々
- いま思い描く世界観は
- \取り上げてほしいお店を教えてください/
- キッチンカーに関する主な記事
- 開業実績多数!無料キッチンカーセミナー開催中
- キッチンカーの開業相談
- キッチンカーの出店場所をお探しの方
開業実績多数!無料キッチンカーセミナー開催中
ジャークチキンのキッチンカー『ISLAND KITCHEN』
どこからともなくやってくる香ばしい香りと南国テイストの陽気な音楽に誘われていくと、元気な声が聞こえてきます。
「こんにちは、いらっしゃいませ」
「はじめまして、チキンがうちのオススメですが、同じ味付けでポークとビーフもあります」
「どうぞお楽しみください」
明るい声と笑顔でお客さんに声を掛けるのは、ジャマイカの郷土料理「ジャークチキン」が看板メニューのキッチンカー『ISLAND KITCHEN(アイランドキッチン)』の店主、杉崎さん。ゴーグル姿で手早く料理を提供しながら、明るくどこかひょうきんな調子にほっこりします。
ゴーグルなのは、ジャークチキンを炭火で焼いて提供しているため。スパイスや香味野菜、ハーブの漬けダレでマリネしてしっかりと味をつけ、炭火でじゅわ〜っと燻したり、蒸したりしながら焼いたお肉をカット。手作りソースに絡めてからご飯の上にゴロゴロと盛り付けてくれます。サイドにはたっぷりのリーフサラダや、マカロニサラダ、仕入れによって変わる手作り野菜の副菜が数点添えられます。
炭火を扱うのは、車内が高温になることや、調理後の処理などさまざまな面で苦労が尽きないそうですが、これがまた香ばしい風味をお肉にまとわせ、抜群においしいのです。
杉崎さん「辛いのが苦手じゃなければ手作りのチリソースをおかけします」
このチリソースもまた深みのある味わいにピリッとするアクセントを加える逸品で、本格感が一気に増します。
ご飯は、ターメリックライスと、現地のトラディショナルなスタイルを継いだ豆ご飯「ライス&ピーズ」の2種類を交互に出しているというこだわりたっぷり。上から注いでくれるオリジナルソースがつゆだくしみしみです。この、香ばしくて甘辛スパイシーでジューシーな、クセになってしまうジャークチキンにファンが絶えません。
ジャークチキンという日本ではまだ馴染みの少ないお料理を提供し始めて7年になる杉崎さん。どんなストーリーを経て、いまキッチンカーの道を歩んでいるのでしょうか。お話を伺いました。
カリブ海の料理を広めたい
ーどのような経緯でキッチンカーを始めたのでしょうか?
自分はずっと飲食の仕事をしてきたんです。実家が料理屋で、18歳から板前として飲食に関わる仕事に就いてきました。それこそ高級和食料理店や街の居酒屋まで。こうした経験のなかで、組織や会社で雇われて働くのがしっくりこないな、という思いが強くなっていったんですね。思ったことをそのまま表現したり、自分で考えながら成果を上げていく仕事ができない組織に違和感があったんです。だから会社ってものが苦手で自営業を始めたみたいなとこもあります(笑)。
そのうち海外の食文化をもっと知りたいと思い、ジャマイカに渡りました。
ーなぜまたジャマイカに??
レゲエだったり、向こうの音楽が好きで、18歳の時にジャマイカに一ヶ月間旅行に行ったことがありました。また行きたいけどお金がかかる…。そんな思いを募らせていたのですが、23歳の時に、ジャマイカに新しく出来た寿司レストランが求人を出しているのを音楽雑誌でたまたま発見したんです。
これは!と思い、電話をかけて話をしてすぐに働きに向こうに渡りました。音楽と文化、仕事にしていた料理を追求しにジャマイカに行ったんです。当時を振り返るとかなり気楽なものでしたね(笑)。そこから現地では色々ありました…長くなるので割愛しますが(笑)。
日本円で1日1000円で働いてる状態が2年もありましたが…、ビザもお給料ももらいながら滞在して生活しながら勉強出来るなんて夢のようでしたね。現実は甘くありませんでしたが、そのおかげで今があります。
当時のジャマイカには日本食レストランは自分が行った職場を含めて三軒しかなかったんです。まだ日本食レストランがほとんどないジャマイカで働ける機会は滅多にないチャンスでしたね。
仕事が終わると毎晩ダンスホールに遊びに行ったり、近所の友達の家や外でひたすら話をしまくって語学や文化を吸収することが出来ました。
2年間日本食レストランで働いたのち、現地の中国人に雇われたり、日本人は自分のみの高級ホテルで日本人シェフとして働くなど、あえて日本人と関わらないようにしながら「現地の人状態」で3年ほど過ごしました。最後帰る前にはニューヨークにも半年ほど住んで働いてました。
むこうで料理の仕事をしていたなかで、郷土料理のジャークチキンにとても興味を惹かれたんです。ジャマイカでは、屋外のドラム缶をカスタマイズして作った炭火のグリルで塊肉を焼く豪快なスタイルで、至るところで売られているストリートフードだったんです。アルミの皿にざっくり盛られて、スライスされたパンがついてくるみたいなワイルドな感じで。
これを改良して自分なりに最高の形で日本で提供してみたいなと思いったのがきっかけでした。そうして約5年ほど海外で過ごしたのち日本に帰国し、30歳のときにキッチンカー『ISLAND KITCHEN』として独立しました。
ージャマイカのお料理という知名度のない料理を扱っていくのは大変ではなかったですか?
自分の場合は逆にそこがいいなと思いましたね。ジャークチキンは比較対象がないので、競争に巻き込まれないですから。知名度がなく他に食べられるところもないし、ハマった時にうちでしか買えないっていうのも強みになるかな〜と。
『ISLAND KITCHEN』というコンセプトは、ジャークチキンに限らず、カリブ海の料理を広めたいと思って考えたんです。カリブ海の料理、ジャマイカ料理に着目した理由は、海辺のリゾートとか都会のオアシスみたいな非日常空間を演出できると思ったのと、まだまだ日本に全然馴染みがないので広めたられたらと。
カリブの料理は煮込み料理ばかりで、和食や中華、フランス料理などと比べると、そんなに凝ってないというか大味なものが多いんです。そういったものだからこそ、概念を覆すみたいなアイデアを加えて、「これジャークチキン?」みたいな形に昇華させたいなと思ったんです。
カリブ海料理の『ISLAND KITCHEN』として頑張って、タイやベトナムなどのアジアの料理のように定番化させたいと思ってます。
確かなアレンジ力。「自分のもの」にするために研鑽を積む日々
ーたしかに、私も『ISLAND KITCHEN』さんでジャークチキンを知ったからか、この味が「ジャークチキン」だと思っているかも。パンチと深みがあってクセになります。
お客さんからも「ジャークチキンがおいしかったから家でやってみたけど全然違う」とよく言われます。市販のジャークチキンペーストで作るみたいなんですけど。うちのジャークチキンは、基本的には日本人が食べやすい味にしています。カドをたてず、子どもでも食べられるような味にして、もっと本格的に楽しみたい方にはチリソースをかけてもらうようにしています。
ベースの味付けはオールスパイスやタイム、塩といったシンプルなものなんです。それを野菜と漬け込んでマリネするから複雑な味わいになります。うちは、漬け込み用の野菜も、付け合わせの野菜の副菜も、これ!って食材を決めているわけではなく、そのときそのとき大量に手頃に仕入れられたものを使っています。ネギや玉ねぎなどの香味野菜が大量に入ることも多いです。
あとは、手作りした方が安いもの、時間をかけて何とかなるものなど、手間や時間を惜しまずコストを削減し、お客様へ還元したいと思っています。例えばスーパーに出回らないような野菜や規格外の野菜などを安く手に入れるために、小さな八百屋をまわったりもします。その分野菜を削ったりきれいにしたりの時間はかかるんですけど、食べ物を大事にする精神で、安く仕入れればたくさん盛り付けできてお客さんも喜びます。漬けだれにするものは見た目は関係ないですしね。
りんご・マンゴー・キュウイなども大量に仕入れられることがあるので、よく漬けだれにします。塩分を間違えなければベースはスパイスなので、味がそんなに変わることはないんですよ。
野菜や果物はお肉の臭み消しや柔らかくする効果があって、焼くと香りは飛ぶので、味を左右するほどではないんです。例えばパイナップルは芯を2〜4本ほど大鍋に入れると物凄くお肉がほろほろになるんです。酵素を分解する効果が高いんですね。その分アレルギー食材がないかは必ず店頭で確認します。
ーすごいアレンジ力ですね。杉崎さんは高級和食店「分けとく山」でも修行していたことがあるとお聞きしましたが、漬けだれの応用の仕方など、そうした経験の賜物なのでしょうか?
どちらかというと、そういう有名店で学んだのは、仕事の礼儀、掃除の細かさやオペレーションの無駄のなさといったところですね。
一流の店ほど無駄がなく、細かく厳しく隙がないものです。自分の実家だったり、個人の居酒屋のようなところでも働いたことがありますけど、比べるとどうしても無駄が多いです(笑)。
料理という面では、お店で得たことを持ち帰って自分で勉強しないと、自分のものにはならないです。有名店で働いているだけではそこのルールがわかるだけなので。自分のものにするには、勉強しないと気になったことを活かすことはできない。だれが作ってどう考えてたのか、ルーツがわかるもの、どうしてそうなっているのか。考えます。自分はプライベートでも気になる飲食店に食べに行って、これはどういう作り方なんだろうと考えたり、研究していますね。料理が好きで、美味しいものを食べるのが好きというのは根底にあるんだと思います。
いま思い描く世界観は
ー今は台数も増やされたということですが
そうなんです。食材も決め切らずにアレンジしていると先ほどお話ししましたが、自分一人でやる分には使用する食材の調合や配分をその時々のベストに調整することができましたが、今は車の台数やスタッフを増やしているところなので、みんなでやるにはルール・仕組みが必要というフェーズには来ています。
少し前からスタッフを一人増やして2台体制でやってきたのですが、今年からまた増やしていってます。実は、創業時からファンでいてくれた当時学生さんだった子が社会人になって、縁があって入社してくれることになって。どこも人手が足りず困っているご時世に「働きたい」と思ってくれるなんて嬉しかったですね。ネットに求人出した時は一人もこなかったんですけど(笑)。
最近は3台目もできました。まずは2台をランチでしっかり稼働させながら、イベントや単発の出店など、様子を見ながら稼働させていくつもりです。
でも本当、一人でやるのとみんなでやるのとは全然違いますね。もうそれで今、頭がいっぱいです。ぐるぐるです。(笑)安全ということも今まで以上に気をつけています。
自分は40歳でお店をやりたいなと思っていて。これまで30歳の時に独立して、35歳で人を増やしたりと新しいことにチャレンジしながらステップアップしてきました。今は仲間を増やして、広げていくフェーズ。海外展開も夢であり目標です。
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明るく朗らかに、でも時折頭がいっぱいでキラキラした目を困らせながら、杉崎さんは充実した表情でお話ししてくれました。
日本や海外のホテル、街の飲食店で研鑽を積み、26歳で料理長を経験したのち、海外の食材・文化に触れることでさらに料理を追求したいと30歳で独立。当時は会社や組織が苦手ということもあって、キッチンカーで独立の道を進んだという杉崎さん。
今はスタッフを増やし、仕組みづくりにも挑戦しているという道のりに、これまでの経験を昇華させたい想いがあるのかもしれません。
杉崎さん「いまは自分の給料を増やしたいというより、『ISLAND KITCHEN』があそこの通りにも、あっちの角にも、ここの裏にもあって、スタッフがスタバの店員さんみたいに誇りを持って働いていて、仲間がいて、そういう世界観がいいなと思ってるんです」
杉崎さんのくるくる変わる明るい表情は、たしかな未来のイメージが浮かんでいることをうかがわせます。
杉崎さん「お客さんには、おいしさはもちろん、ワクワクしながらランチを買いに来るということを楽しんでもらいたいです。自分はキャラクター、ミッキーみたいなつもりでお声かけさせてもらってます。ゴーグルのお兄さんみたいな(笑)。午前の仕事で嫌なことがあっても、ニコニコした店員さんと少し話せたら楽しい、そんなお店でありたいですね」
杉崎さんの想いは広がり続けています。
- 月曜日:上智大学(四谷キャンパス) 10:30 〜 14:00
- 火曜日:豊洲(豊洲フロント)11:30 〜 14:00 銀座(銀座6丁目スクエアビル)11:30 〜 14:00
- 水曜日:亀戸(錦糸町プライムタワー)11:30 〜 13:30
- 木曜日:赤坂(赤坂パークビル)11:30 〜 14:00 御殿山 青空キッチン 11:30 〜 13:30
- 金曜日:日本橋(日本橋室町三井タワー)11:30 〜 14:00 お台場(トレードピアお台場)11:30 〜 14:0
- 土曜日:海浜幕張(幕張ベイタウン・グリーナ)11:00 〜 15:00
※ 2023年7月現在の出店スケジュール ※ 最新の出店情報はSHOP STOPのスマホアプリからご確認ください。 ※ 下記の「このキッチンカーをお気に入りに追加」ボタンからお気に入り登録可能です。
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『ISLAND KITCHEN』メディア掲載情報
- 数々の一流店で料理長を歴任した米澤文雄シェフのYouTube
You Can Watch With EnglishSubtitles!驚きのグルメカーTV第三弾!米澤シェフ絶叫!車両110万+改造40万=150万円キッチンカーで作るジャマイカ料理ジャークチキン
出典: YouTube
\取り上げてほしいお店を教えてください/
企画の参考にさせていただきます。