キッチンカーのプラットフォーム「SHOP STOP」の登録キッチンカーによるボランティア組織「フードトラック駆けつけ隊」のご紹介と、フードトラック駆けつけ隊の最新活動3月11日(土)豊洲エリアで行われた防災訓練の様子をご紹介します。
目次
- 開業実績多数!無料キッチンカーセミナー開催中
- フードトラック駆けつけ隊とは?
- 支援できる人ができるだけの支援をする仕組み
- もしもの時にそなえる。最新活動3月11日の豊洲エリアの防災訓練に参加
- 災害時を想定したスピーディなメニューを考案
- 支援活動に参加したキッチンカー『Caffe Latte』藤森さんのインタビュー
- キッチンカーに関する主な記事
- 開業実績多数!無料キッチンカーセミナー開催中
- キッチンカーの開業相談
- キッチンカーの出店場所をお探しの方
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キッチンカーによる災害支援に注目が集まっています。キッチンカーは、機動力・食材・調理人・調理設備を兼ね備えており、災害時に必要な要件を満たしています。また、普段から食のプロフェッショナルとして大量調理に慣れており、炊き出しの際の提供力も有しています。
キッチンカーのプラットフォーム「SHOP STOP」では、キッチンカーの方々と行う食事支援等のボランティア組織「フードトラック駆けつけ隊」を組織しています。2023年3月現在、全国のSHOP STOPに出店しているキッチンカー320社が活動に賛同してくれています。
今回は、キッチンカーによる災害支援の一つのカタチとして「フードトラック駆けつけ隊」の活動についての概要と、直近参加した豊洲エリアの防災訓練のレポートを交えてご紹介します。
フードトラック駆けつけ隊とは?
SHOP STOPでは、キッチンカーの営業場所を全国861カ所で運営し、提携する2332店のキッチンカーとともに毎日のランチ・ディナー営業を行っています。こうしたキッチンカーのネットワークを有するプラットフォームとして、「食の力で困っている人のチカラになりたい」という想いを持ったキッチンカー事業者さんと、「あたたかいごはんが食べたい」と願う人々をつなげる仕組みを構築するために、2019年9月に「フードトラック駆けつけ隊」を発足しました。
実際に、2019年の9月に起きた台風15号による千葉県の大規模停電や、2020年のコロナ禍での医療従事者・こども食堂への支援活動を行いました。
千葉県の停電の際、フードトラック駆けつけ隊のキッチンカーの方々に支援活動を呼びかけたところ、その日の夕方には8店が現地へ向かってくれました。
現地との受け入れ調整を行うなかで、支援活動について呼びかけることができたのは木曜日の12時というまさにランチ時。キッチンカーの皆さんは、いつも通りにオフィス街でお客さまにランチを提供したあと、大急ぎで停電地域へ向かい、夕方からの食事提供を実現しました。その後8日間にわたり、のべ32店が4000食を無償提供しました。
フードトラック駆けつけ隊の発足の経緯や、千葉県の大規模停電時の支援活動の詳細については、下記の記事で詳細を記載しています。
支援できる人ができるだけの支援をする仕組み
災害は、どこで起きるか、どの程度の規模になるのか予想もつきません。ですから、「『フードトラック駆けつけ隊』という仕組みがあるので、いざという時必ず駆けつけます!」とはお約束できません。それでも、高い確率で起きている台風や地震等の自然災害に備え、「できる人ができるだけの支援活動を行う仕組み」として整えておくことが重要です。
「食の力で笑顔になってほしい」という想いを持つキッチンカーの事業者さんがいる。支援したくても様々な事情でできない人もいる。また、首都圏で大きな災害が起きた場合は、SHOP STOPの東京本社が本部として機能することも難しくなることも予想できる。だから「できる人ができるだけの支援活動を行う仕組み」を作りたいと考えています。現地受け入れ先と連携しながら、どのようなペースで安全かつスムーズに希望者を被災地へ送り出すか、SHOP STOPで連携する全国のエリアで被災地へ向かう調整ができるのか、その形を実現するのもSHOP STOPとしての最適配車の一つであると考えています。
また、災害時には大きな混乱が予想されます。その時に動けるよう、平時から出店しているスペース、地域行政、住民の方と「災害時にはどうするのか」という取り決めや、コミュニケーションを進めておくことが重要です。そのため、フードトラック駆けつけ隊では、こうした地域との連携にも力を入れています。
もしもの時にそなえる。最新活動3月11日の豊洲エリアの防災訓練に参加
災害時を想定したスピーディなメニューを考案
フードトラック駆けつけ隊は、平時からの地域との連携強化の一環として、2023年3月11日に豊洲西小学校で行われた地域防災訓練に参加しました。
豊洲エリアは地区内残留地区のため、風水害や地震等の災害に際してほとんどの方が「在宅避難」となります。しかしこれほど多くの住民の皆さんが一斉に、しかも長期に在宅避難するということは誰も経験したことがありません。
そこで、この地域防災訓練では大規模な地震が起きた場合を想定し、発災後の時間経過とともに、どのような事態が起こりうるのかイメージしながら、事前の備えとして何が必要なのか、また備えはできているのか等を自己チェックしていただくというテーマで行われました。
この防災訓練イベントのなかで、フードトラック駆けつけ隊の役割の説明や、フードトラック駆けつけ隊のメンバーである『Caffe Latte』さんによる、災害時の食事提供をイメージしたデモンストレーションを行いました。
『Caffe Latte』さんが普段提供しているのは「イタリアランチボックス」ですが、今回防災訓練で提供してくださったのは「肉巻きおにぎり串」。災害時の提供のポイントについて『Caffe Latte』藤森さんに教えていただきました。
藤森さん「今回は防災訓練の参加者の方への軽食のおみやげというテーマもあり、災害時をイメージして、真空包装のまま湯煎調理のみの10分で温かい軽食をたくさん提供できる『肉巻きおにぎり串』を準備しました。時間をかけずに早く出せ、年配の方からお子さんまで幅広く好まれる味付けで、なおかつ食べやすいということを重視して考えました」
今回、防災訓練参加者へ約150食を提供するのに、会場への搬入から提供開始時間までの時間が多くはなかったことから、「湯煎用のお湯は仕込み場で沸かしてきました」とのこと。水から沸かすと時間がかかってしまいますもんね。「鍋は蓋の下にラップをかけ、二重にした袋の中に入れて持ってきました。そうすると運転中にこぼれにくく、万が一こぼれても被害は最小限で済みます」
現地で沸かし直すカセットコンロにも工夫が。「このタイプのカセットコンロだと風に強く、屋外でも消えてしまうことがありません。手早く提供するために、こうした道具も万全だと準備に手間取らなくて済みます」
「ポータブル電源も、ソーラー充電できるタイプを持ってきました」とのこと。普段の装備から、あらゆる場面を想定して揃えておくと、いざというときに安心なんですね。(給電しながらのポータブル電源本体への充電は、負荷がかかり劣化を早めるためおすすめしないそう)
おにぎり串は、耐熱の真空パックとジップロックを二重にしてお湯の入った鍋であたためます。「真空にしていても穴が開いてることがあったり、お鍋の底が熱いので、万が一パックが触れて穴が開く可能性もあります。そうするとお湯が浸入することも考えられますし、お湯が汚れてしまうこともあります。二重にしておけばそうした心配が軽減できます」
こうして手早く準備を済ませた『Caffe Latte』さんは、防災訓練イベント終了後に集まった住民の方々に手早く肉巻きおにぎり串を提供されました。提供直前に湯煎の鍋から取り出し、バーナーで炙ると香ばしいいい香りがあたりに立ち込め、「おいしそう〜〜」「いい香り!」とご年配の方、ご家族連れともに大喜びでした。住民の方は「このへんにキッチンカー色々きてくれているから、こういう活動もうれしいです」とお話ししてくださいました。
藤森さん「今日は短時間で150人近くに提供しましたが、このメニューですとやはりとても素早く出せますし、数もたくさん出すことができると実感しました」
今回のメニューや提供方法は、災害時の食事支援における様々な状況やニーズに応える一例です。このように日頃から状況に応じたアイデアを考えたり、実践として防災訓練を行うことは大変有意義でした。
支援活動に参加したキッチンカー『Caffe Latte』藤森さんのインタビュー
実は『Caffe Latte』の藤森さんは、2019年の千葉県大規模停電の支援活動にも参加してくださっていました。改めて、支援活動への思いを伺いました。
Q.なぜフードトラック駆けつけ隊に参加されたのですか?
藤森さん「私はフードトラックを始めて18年目になりました。フードトラック駆けつけ隊に参加したのは、ここまで続けてこられた恩返しの気持ちもありますし、東日本大震災の時に何も出来なかったので、災害があったら直ぐに動くと考えていました」
Q.2019年の千葉県の大規模停電時の支援に参加した時のことを教えてください。
藤森さん「当時はランチ営業中に支援の呼びかけがありました。私は、ランチ営業をしながら素早く準備をし、営業終了後すぐに現場に向かったのを覚えています。普段のランチメニューだと仕込みに時間がかかり過ぎて直ぐに現地に届ける事ができないので、仕込みに時間のかからないよう工夫をしました。被災地で困っている方に一番大切なのはスピード感だと思います。電気がストップし不安な状態の方々に食の心配をさせたくないという一心でした。そしてこのとき大切だと感じたのは、フードトラックから温かい食事を出すだけではなく、被災した方々の気持ちに寄り添い、思いやりをもってコミュニケーションを取りながら提供するということです。我々の強みであるモビリティの機動力を活かし、スピーディーに、そして安心感を届けることができ、良かったと思います」
藤森さん「私が開業した当時はこの業態はまだまだ移動販売車と呼ばれており、飲食店として認知されず悔しい思いをすることもありました。その時に、業界が良くなる様に努力し、当たり前の事を当たり前にやっていこうと決心しました。こうした活動に参加できる機会があるのはとても嬉しく思っています」
キッチンカーのプラットフォームSHOP STOPでは、「食の力で困っている人のチカラになりたい」という想いを持つフードトラック駆けつけ隊のみなさんと、出店場所のスペースオーナー様、地域行政、住民の方々と、いつ起こるかわからない自然災害に備えられるようコミュニケーションをとりながら、活動を広げて行ければと考えています。