半年予約が取れない吉祥寺の赤身肉の名店『肉山』。お店へ行くことは「肉山登山」と呼ばれ、SNS上での登山報告が相次ぐなど、多くのファンから親しまれています。
そんな『肉山』は2019年9月からキッチンカーに進出。お店の予約が取れなくても、吉祥寺へのアクセスが悪い人も、キッチンカーならば気軽に楽しめると話題です。
たくさんの人気飲食店を手掛けてこられた『肉山』の光山英明さんに、キッチンカー開業支援をMellow向がキッチンカーに懸ける思いや野望をお聞きしました。
目次
- 開業実績多数!無料キッチンカーセミナー開催中
- 『肉山』の名前でキッチンカーやっても売れませんって、ずっと言ってます。今も思ってます。
- 市況を読みつつ、キッチンカーでも独自のスタイルを作る
- 『肉山』2号車もデビュー!キッチンカー事業の今後
- 家飲みキッチンカーの次の一手は。キッチンカーで思い描く夢
- キッチンカーに関する主な記事
- 開業実績多数!無料キッチンカーセミナー開催中
- キッチンカーの開業相談
- キッチンカーの出店場所をお探しの方
開業実績多数!無料キッチンカーセミナー開催中
肉山オーナー 光山英明
1970年、大阪市生まれ。個人商店代表取締役社長。小学4年生から硬式野球を始め、上宮高校野球部では主将を務め、甲子園に出場。ベスト8に。卒業後も中央大学野球部に入部、吉祥寺周辺で寮生活。卒業後は大阪に戻り、卸酒屋に就職。9年半勤務後、上京し、2002年11月にホルモンと焼酎の店『わ』を開店。2012年11月には『肉山』を開店。予約1年待ちの人気店に育て上げる。飲食店を開業したり知り合いの相談にも乗り、これまで60店舗以上をプロデュース、そのすべてが繁盛店となっている。
聞き手:株式会社Mellow 開業 / 経営支援事業責任者 向 剛志
大手グルメ情報サイト「ぐるなび」で、営業や戦略投資チームに所属。東名阪 1,000店舗以上の飲食店販促や経営支援に従事したのち、 モビリティプラットフォーム「SHOP STOP」を運営する株式会社Mellowへ入社。キッチンカー開業/経営支援事業を立ち上げ、キッチンカー開業パッケージ「フードトラックONE」を構築。事業責任者としてキッチンカー開業を目指す飲食店や飲食企業の事業戦略設計サポートを行う。また、キッチンカーの成功事例と失敗事例を踏まえたキッチンカー開業セミナーも開催。これまで1,000店舗以上のキッチンカー開業相談を請け負っている。
『肉山』の名前でキッチンカーやっても売れませんって、ずっと言ってます。今も思ってます。
ー 先日ようやく「家飲みキッチンカー」で念願のお酒を出すことができましたね。
そうですね。コロナが来てしまって、ずっとその形にはチャレンジできなかったのですが、先日やっと夜のマンションで、お酒と一緒にうちの肉を楽しんでもらうスタイルを実現できました。ここからがスタートですけどね。
ー 『肉山』さんは、コロナ前の2019年9月からキッチンカーを開始されました。
Mellowさんと出会って、『肉山』のキッチンカー作ってほしいって言われて、面白いなと思いました。でも僕最初から言ってたんです。『肉山』の名前でキッチンカーやっても売れませんって。ずっと言ってます。いまだに思ってます。Mellowの担当者は「いや絶対出ます、売れます」「いや、出ません、売れません」ってやりとりから始まって(笑)
ー 今では平日も5日稼働、夜の営業や土日のイベントとフル稼働ですが…!
当時はコロナ前で、オフィス街のランチタイム営業が主流でした。弁当を売るだけだとうちの良さは出ない、月曜あのビルに行って、火曜あのビルに行ってっていうスタイルでは大したパフォーマンスは出せないって思ってたんです。夜型なんですよねうち。
ー それでもキッチンカー開業に踏み切られた理由は何だったのでしょう?
夜の屋台村みたいな世界観ができたらイケると思いますって話は最初からしていました。酒があって、肉があって、つまんでみたいな感じがやっぱりベストだと思っているんで。その形をいつか実現したい、しましょうっていうビジョンの合致があって、キッチンカーの世界に入りました。
市況を読みつつ、キッチンカーでも独自のスタイルを作る
ー キッチンカーをはじめてからギャップや心配ははありましたか?
Mellowの皆さんがイメージする食数、売上にはいかないんじゃないか、期待には絶対答えられないなと思っていたんですよね。最初に出店させてもらった現場が東京駅の近くで。お客さんもたくさんいる立地、場所のオーナーも『肉山』が出てくれるっていう期待も高い。1人でも多くのお客さんに提供しなければいけない。弁当1つで質と量にそこまでのパフォーマンスを出せないと思っていたので、そこは期待値とのギャップがありました。
ー 「『肉山』の真骨頂は、レアでありながら中まで温かく、決して生ではない赤身肉の焼き方にある。」「牛肉は内部が58℃になるように調整している」というお話もよくされていますよね。キッチンカーでそうしたクオリティを出す、保つ。パフォーマンスを最大化するオペレーションの工夫も大変なものがあったと思います。
当時1個提供するのに、「1分で1個お弁当出さないと200個出せません」みたいな感じでストップウォッチで計ったりしてましたよね(笑)。早く提供する。当然いいものとして。それを期待されていました。でも、「いやそれよりやっぱり確実なものを毎日85個なりをきっちり売り続ける方がいい」と僕は思ってました。Mellowチームも今となっては考え方も変わってるのかもしれないですけど(笑)。
ー 改めてキッチンカーの赤身肉のこだわりを教えてください。
こだわりというか、まずは食中毒を絶対起こしてはいけないこと。
菌を殺さなくちゃいけないという大前提です。その上でこの見た目、この色味、このいいピンクを出すということが『肉山』なんです。これは本当にミスのないように入念に焼いているので、そのスピーディーさがキッチンカーで出せるかっていうところですね。
ー あの色が最高に美味しそうです。ものすごい工夫をされていると思います。
工夫っていうかそこが勝負。
いってしまったら戻れないし、足すこともできない。切ってパカーンと見て、「よし」という感じです。僕にめっちゃ怒られるからみんな大変ですよ(笑)。
あと、当時は何とか1000円以内で抑えたいみたいなムードがありましたけど、それはもういいんじゃないかなと僕は思ってます。だいぶ市況感変わってきたんじゃないかなと。始めた当時(2019年の9月)より値段上げてもお客さん買ってくれるような気がしてるんですよね。
例えば1000円でこれぐらいのランクの肉山の弁当だとしたら、でも1300円でならばこれくらいのランクのものが出せる。それならいけるんちゃうかなと。そもそもそのクラスのクオリティにしないといけないでんすけど、そのクラスになれば買ってくれると思うんですね。2000円いったらダメだけど、1300円だったらオッケーみたいな。この振り幅の値付けはセンスいると思うんですけどね。
ー キッチンカーも当時はランチ難民の救世主という立ち位置だったのが、価値あるものをちゃんとした価格で提供するっていうのがいまの流れになってきているのかもしれません。
いまね、こんな肉だけ敷き詰めてる弁当も考えてたりしてます。もうキムチ、ナムルとかいらないやろって。『肉山』っぽいなと思うんです。これは現場から出たアイデアなんですけどね。これ見たら高付加価値な弁当もいけるって思いません?
『肉山』2号車もデビュー!キッチンカー事業の今後
ー 1台目のキッチンカーも絶好調ななか、「フードトラックONE」での2台目が始まりましたね。
ずっとやりたかった夜の業態もできそうな情勢になってきたので、アクセル踏みたいですね。
いまはキッチンカーへの注目が高まっていて、車を注文してから半年以上持つケースも多いらしいですね。そもそも半導体不足の問題もあって車の生産が追いつかないとかもあるんでしょ。10月に2号車がデビューしますけど、「フードトラックONE」のパッケージでスピーディーに用意してもらえたのもありがたかったですね。
ー 2号車はローストビーフをメインにお考えとか。他にも色々やりたいことありますか?
そういえば、保健所的に寿司もOKになったんでしょ?
ー お寿司やりたいってずっとおっしゃってますよね(笑)。200Lのタンク積むなどの要件を満たして営業許可を取ればナマモノの提供もできるようになりました。
キッチンカーの夜営業で寿司ってほんま売れると思いますよ。トラックの周りで立ち食い寿司で、ポンとカウンターに置いてっちゃうのね。「高いとこからスンマセーン」みたいな(笑)。あ、そういうのルール的にはどうなってるんですっけ?
ー あくまで移動販売なので、キッチンカー自体が席を出しちゃダメってルールがありますね。
当然ルールはしっかり守らなきゃいけないので、Mellowさんにそうした相談できるのもいいですよね。
あとは出店シフト組んでくれるのも大きいですよ。『肉山』さん、今日はこっち、明日はあっち行ってって。自分らで勝手にやるんじゃなくてサポートがあるっていうか。アプリやLINE公式アカウントでお客さんにも知らせてくれるし。
僕らは現場に行って、ちゃんと作って売る。そこに専念できる。コミュニケーションとって確認しながらやってるので、知らずに「これは違反です」なんてつっこまれることもないので、そこはすごく安心してやれてますね。
家飲みキッチンカーの次の一手は。キッチンカーで思い描く夢
ー 今後のキッチンカーの展開イメージを教えてください
「夜やる」っていうのがキッチンカーに踏み切ったきっかけなので、もっとやっていきたいと思っています。せっかく車なので機動力を出していきたいですね。『肉山』のキッチンカーここにもいてる!あれ、ここにもいてる!みたいな。どこいっとんねんみたいになりたいですね(笑)。
ー 吉祥寺の店を飛び出して、いろんな場所で『肉山』さんのお店のスタイルでお酒を振る舞える場所が増えるということは、可能性を感じるものですか。
キッチンカーってその場で世界観作れるんですよね。車があって、肉焼いてて、そこにいる人らのためだけにってなるとまた提供のスタイル、出し方も変わってくるんじゃないかな。いろいろなニーズに合わせてキッチンカーの出し方も変えていけることに可能性を感じてますね。夜に僕らが行って、そこで肉焼いて、飲んでってできたら、キッチンカーやりたいって方は増える自信ありますね。『肉山』に続けみたいな。
ー どういった場づくりができるという自信なのでしょう??
わかんないけど自信あるんですよ(笑)。
数値化できないものなんです。でもこの自信はキッチンカーを始めた2019年から一貫してブレてないですね。その場の熱気、お客さんとの一体感、ちょっとしたライブ。そういったところだとは思ってます。
あとは加工品や冷凍品の販売など、その日じゃなくて、翌日、翌々日食べられるようなものや、夜のお酒などでどんどん積み増して行きたいですけどね。知り合いが、最近サウナのイベントをやっているんですが、そこで食堂車みたいに使ってもらうのとかもいいなと考えています。ライブっぽいじゃないですか。サウナ1時から何セットか回って、2時半くらいにあがってきたら、そこに『肉山』がいる。肉を焼いてる、おいしいお酒が飲める。めちゃくちゃ盛り上がると思うんですよね。お酒出したり焼きそば焼いたり、その子らのためだけにやる。売上だけじゃない何か大事なところってあると思う。そういうのもありみたいな。
ー 場との一体感をつくり、『肉山』のブランド力を発信できる、そういう身軽な動きもキッチンカーならではですね。
ー 改めて今後の野望を教えてください
お酒の業態をより盛り上げたり、サウナイベントなどに出たり、お惣菜・冷凍食品など、もう色々ですね。やりたいこと、アイデア盛りだくさんです。
さらに台数を増やすイメージもあります。一番いいのはうちのトラック3台とか4台とか呼べば、もうそこで屋台村できちゃいますよね、それぞれ業態変えて、駐車場借り上げちゃったりとかして。肉山プロデュースでそういう屋台村できるといいなと思います。『肉山』、『タレ山』、『寿司山』、『ベジ山』呼んでね。『○○山酒場』。いいですよね。
ー withコロナ時代、キッチンカーにも数十年に一度の変革期が訪れています。時代の変化を的確に捉えながらも、飲食店のあり方に対するブレない信念、尽きないアイデアでキッチンカーの新しい可能性を広げていかれる光山さん。『肉山』キッチンカーの今後に期待です。